相続について
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相続開始後の手続の流れ
① 遺言書の有無の確認
死亡者(被相続人)の遺言書があるかどうか確認して下さい。
故人が遺言書を残していれば、その内容に従って財産を分割します。 遺言書による分割は、遺言執行者が指定されていれば、その者が遺言内容を執行することになり、遺言執行者が指定されていなければ、遺言執行者の選任申立てを行います。
公正証書以外の遺言書の場合は、家庭裁判所で検認の手続きをとる必要があります。
遺言書に記載のない財産は、相続人で話し合って分割します。
相続人全員の合意がある場合は、遺言書の内容と異なる内容の遺産分割協議もできると解されています。
② 相続財産の確認
被相続人の負債を含めた全ての相続財産を調査し、不動産や有価証券などの評価額を算出します。必要があれば財産目録を作成し、遺産分割協議の際に利用します。
    相続財産
  • 相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。
    ☆プラスの財産:金銭(預貯金、貸付金、売掛金)、不動産(土地、建物)、動産(自動車、貴金属、骨董品)、有価証券(株券、国債、社債、小切手、手形)、被相続人が保険者で受取人になっている生命保険、その他(電話加入権、ゴルフ会員権)など
    ★マイナスの財産:借金、買掛金、未払金、ローン、税金など
    財産目録
  • 財産目録は、預貯金、不動産、有価証券、ゴルフ会員権、生命保険等のプラスの財産と借入金等のマイナスの財産について、その内容を具体的に記入した一覧表のことです。
    財産目録は、遺産分割協議の前提となるものなので、記載漏れや誤りがあるとあとで思わぬトラブルになりかねません。
    財産を正確に記載するために、固定資産評価証明、通帳のコピー、生命保険証券、借入金の残高がわかるもの等、様々な資料が必要となります。
③法定相続人の調査・確定
遺言書がなかった場合、または遺言が執行された後に財産が残ったという場合には法定相続人が相続財産を受け継ぐことになります。法定相続人は、民法により定められており、残された親族が誰であるかによって相続できる人と相続できる割合が異なってきます。法定相続人を確定させるために、被相続人の出生から死亡までの戸籍を遡ります。そのために、戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍等を取寄せる必要があります。
    戸籍謄本
  • その戸籍に記載されている内容のすべてを証明したもので、戸籍に入っている全員分の証明です。戸籍が電算化(コンピュ-タ化)されている場合、戸籍謄本は「戸籍の全部事項証明書」となっています。
    除籍謄本
  • 戸籍に記載のある人が全員いなくなる場合(婚姻によって他の戸籍への移動や死亡等)や他の市区町村へ転籍した場合などに除籍謄本となります。
    改製原戸籍
  • 正しくは「かいせいげんこせき」と言いますが、「現在戸籍」と紛らわしいので、「かいせいはらこせき」、または単に「はらこせき」ともいわれます。法律(省令)によって戸籍は改製され、新しくなりますが、改製原戸籍は改製の際の元(原)になった戸籍です。
    基本的には、戸籍の記載事項をそのまま写しかえているので、記載されている身分の変遷に関する事項には変わりはありません。
    ところが、改製の際に、前の戸籍に記載されていた事項でも、写しかえられない事項があります。改製前の戸籍では出生届が出せれていたが、その子が亡くなってしまいその戸籍で除籍された場合、その後の改製作業により、その子は新しい戸籍には記されません。
    また、離婚による夫婦関係の解消や、離縁による養子縁組の解消なども写しかえられません。そのため、戸籍を遡る際に「戸籍の改製」の記載のある謄本を取得した場合は、改正前の「改製原戸籍」も取得する必要があるのです。
④相続の放棄・限定承認
相続財産に債務が多い場合は、相続放棄や限定承認の手続きをします。相続開始を知った日から3ヶ月以内に行わなければなりません。
    相続放棄
  • 相続放棄とは、被相続人の財産の全てを放棄し、一切の財産を相続しない方法です。
    相続放棄は、マイナスの財産が明らかに多い場合、相続争いに巻き込まれたくない場合等に行います。相続放棄は、各相続人が単独で行い、一人でも相続人が相続放棄した場合は、限定承認できなくなります。 相続開始前に相続放棄はできませんが、遺留分については相続開始前でも放棄することができます。 相続を放棄するには、相続開始を知ったときより3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄申請書を提出しなければなりません。
    限定承認
  • 限定承認とは、プラスの財産の範囲の中でマイナスの財産を引き継ぐという条件きで相続を承認する方法です。
    限定承認は、相続放棄者を除く他の相続人全員がそろって行わなければならず、もし相続人の中で一人でも単純承認をした人がいる場合は、限定承認を選択することはできません。清算して資産が残れば、相続人が受け継ぐことができます。
    限定承認手続では、相続財産管理人の選任や財産目録の作成、公告手続や債権者への返済など複雑な手続を行わなければなりません。
    遺留分
  • 遺言書を作成すれば、法定相続人以外の者に全財産を遺贈することも可能です。しかしそれでは、残された遺族が生活できなくなってしまう事態も起こりえます。そうした事態を防ぐため、民法では遺産の一定割合の取得を相続人に保障しています。これが、遺留分です。
    相続人の遺留分を侵害する遺言書も、当然に無効になるわけはありません。遺留分を取り返すかどうかは相続人の自由で、遺留分減殺請求がなされるまで有効です。
    遺留分は相続財産全体の1/2(相続人が直系尊属のみの場合には遺留分は相続財産全体の1/3です)となっています。その1/2(または1/3)を法定相続人で分けることになります。
    兄弟姉妹には、遺留分はありません。そのため、遺言によって遺産を与えないようにすることもできます。
⑤遺産分割協議
遺産分割は、いつまでに行わなければならないという決まりはありません。 分割協議が終わるまでは、遺産は相続人全員で共有している形となります。 しかし、各種の変更手続きを行なう際に不都合が生じますので速やかに分割協議を行いましょう。分割協議は、相続人の全員参加が原則です。
⑥遺産分割協議書の作成
分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。不動産の相続登記、預貯金の名義変更、相続税の申告の際に必要となります。また、協議のむし返しを防ぐ意味でも遺産分割協議書は有効です。遺産分割協議書は、共同相続人全員が署名・捺印しなければなりませんが、一堂に会して協議し書面を作成することができない場合は、持ち回りによる方法で行っても差し支えありません。
    不動産の相続登記
  • 相続登記は、いつまでにしなければならないという期限はありません。
    しかし、いつまでも登記をしないでおくと第三者に権利を主張できないばかりでなく、いざ名義変更しようとしたときには相続人が増えているといったこともあります。
    遺産分割協議が終わったら、速やかに相続登記をする必要があります。
    不動産の所有権移転登記は、不動産を管轄する地方法務局に、所有権移転登記を申請します。
    必要書類は、概ね次のものです。
    ●遺産分割協議書
    ●被相続人出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本
    ●固定資産評価証明書
    ●被相続人の住民票除票
    ●相続人全員の戸籍謄本
    ●相続人全員の住民票
    ●相続人全員の印鑑証明書
⑦相続財産等の名義変更
不動産の所有権移転登記、預貯金、有価証券、自動車等の名義変更を行います。
    不動産の所有権移転登記
  • 相続登記は、いつまでにしなければならないという期限はありません。
    しかし、いつまでも登記をしないでおくと第三者に権利を主張できないばかりでなく、いざ名義変更しようとしたときには相続人が増えているといったこともあります。
    遺産分割協議が終わったら、速やかに相続登記をする必要があります。
    不動産の所有権移転登記は、不動産を管轄する地方法務局に、所有権移転登記を申請します。
    必要書類は、概ね次のものです。
    ●遺産分割協議書
    ●被相続人出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本
    ●固定資産評価証明書
    ●被相続人の住民票除票
    ●相続人全員の戸籍謄本
    ●相続人全員の住民票
    ●相続人全員の印鑑証明書
⑧相続税の申告
相続税の納期は、死亡から10ヶ月以内です。5,000万円+(1,000万円×相続人の数)が相続税の基礎控除額となりますので、相続財産の評価額(課税価格)がこれ以下であれば相続税の申告はいりません。また、自営業等で毎年確定申告をし、所得税を納税していた方が亡くなった場合、その相続人が亡くなった方に代わって確定申告をする必要があります。亡くなってから4ヶ月以内に申告・納付しなければなりません。
⑨遺族年金の請求
一定の要件に該当する場合には、遺族基礎年金、遺族厚生年金、寡婦年金、死亡一時金の申請を行わなければなりません。年金は、申請主義に基づき支給されるものですので、例え受給資格があっても年金を受け取ることはできません。また、被相続人が年金受給者であった場合は、併せて未支給年金の請求を行います。
    遺族基礎年金
  • 遺族基礎年金は、国民年金に加入していた方がお亡くなりになった時、その「子」または「子のある妻」に支給されます。この場合の「子」は、18歳に到達する年度末までの子か1級または2級の障害をもった20歳未満の子が対象となります。(死亡した当時、胎児であった子も出生以後に対象となりますが、婚姻している子は対象とはなりません。)
    遺族基礎年金
  • 遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者などが次の要件にあてはまる場合、その遺族※に支給されます。
    ①厚生年金保険の被保険者である間に亡くなった時
    ②厚生年金保険の被保険者である間に初診日※がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に亡くなった時
    ③障害厚生年金の1級・2級を受給している方が、亡くなった時
    ④老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金を受けるために必要な加入期間の条件※を満たしている方が亡くなった時 
    ※遺族厚生年金を受けられる遺族:遺族厚生年金を受けられる遺族は、死亡当時、死亡した方によって生計を維持されていた以下の方が対象となります。

    優先順位 状  況 対象となる年金
    1 18歳未満の子のある妻 遺族基礎年金・遺族厚生年金
    1 子のない妻(40歳未満) 遺族厚生年金
    1 子のない妻(40歳~65歳) 遺族厚生年金・中高齢寡婦加算
    1 55歳以上の夫 遺族厚生年金
    2 55歳以上の父母 遺族厚生年金
    3 遺族厚生年金
    4 55歳以上の祖父母 遺族厚生年金
    ※子、孫については、次の条件があります
    ①死亡時、18歳になった年度の年度末までの間にあり、かつ婚姻をしていないこと。
    ②20歳未満で1級または2級の障害の状態にあり、かつ婚姻をしていないこと。
    ※初診日:初診日とは、障害の原因となった病気やけが(以下「傷病」といいます。)について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を言います。
    ※同一傷病で転医があった場合は、一番初めに医師の診療を受けた日が初診日となります。
    ※加入期間の条件(受給資格期間):老齢基礎年金・老齢厚生年金を受給するためには、原則25年以上の保険料納付済期間または保険料免除等期間が必要です。受給資格期間には、様々な経過措置や特例措置があります。)
    寡婦年金
  • 寡婦年金は、国民年金の被保険者(任意加入被保険者を含む)の夫が亡くなったとき、夫との婚姻関係(事実婚を含む)が10年以上継続している妻に、60歳から65歳の間支給されます。
    夫の国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて25年以上ある必要があります。
    ※寡婦年金と死亡一時金の両方を受けられる場合は、選択によりどちらか一方が支給されます
    死亡一時金
  • 死亡一時金は、国民年金の被保険者(任意加入被保険者を含む)として保険料納付済期間※が3年以上ある方が亡くなった時に遺族に支給されます。
    ※4分の1納付期間は、4分の1に相当する月数 半額納付期間は、2分の1に相当する月数 4分の3納付期間は、4分の3に相当する月数が加わります。
    ※受け取ることができる遺族の範囲は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で亡くなった当時生計を同じくしていたが受け取れます。
    ※亡くなった方が、老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれかを受けていたときまたは遺族基礎年金を受け取ることができる場合は、支給されません。
⑩その他
国民健康保険の世帯変更、葬祭費の請求、公共料金の名義変更、クレジットカードの停止・未払金の精算などを行いましょう。
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